ダブルハンドのライン選び スカンジとスカジット、何が違う?
DOLLY VARDEN COLUMN
ダブルハンドのライン選び スカンジとスカジット、何が違う?
スペイキャスティングで必ずぶつかる疑問。2つのシューティングヘッドシステムを整理します。
どちらもシューティングヘッド(スペイライン)のシステムですが、設計思想もキャスティングスタイルも、向いているフィールドもまったく別物です。今回はこの2つを整理して解説します。
スカンジとは(Scandinavian)
北欧のサーモンフィッシングから生まれたシステムです。
| ヘッド形状 | テーパーが長く、先端に向かって滑らかに細くなる |
| 長さ | ロッド長に対して、2.5~3倍の長さの製品が多い。スカジットラインよりも長め |
| ティップ | 基本的にティップは接続せず、テーパードリーダーもしくはポリリーダーを接続します。例外として、RIO Scandi Bodyのようなチェンジャブルラインも存在し、フローティングからシンキングまで状況に合わせて先端を変えることができます。 |
| キャスト | タッチアンドゴーと呼ばれる、ラインの先端部分を水面に一瞬だけ「タッチ」させて、飛ばす方法。 |
| リーダー | 比較的長め(9ft~15ft前後)のテーパードリーダーやポリリーダーを使用することが多い |
| シンクティップ使用時 | スカンジでシンクティップを組む際は、リーダーを短めに接続するのがセオリー |
| 得意な状況 | ウェットフライやストリーマーなどの比較的軽いフライを軽快にキャストするのに適している |
スカジットとは(Skagit)
アメリカ・ワシントン州のスカジットリバーで、大きく重いフライ(スチールヘッドやサーモン用のウェイテッドフライ)を沈めて流すために発展したシステムです。
| ヘッド形状 | スカンジよりも短く太い重量感のあるフライライン。 |
| 長さ | スカンジより少し短く、ティップを含んだ全長で10m前後の製品が多い。例外としてOPST Commando HeadやSA Skagit Shortなど、短いラインも存在する |
| ティップ | 重たいシンクティップ(T-8、T-11、T-14など)を組み合わせて使う。 |
| キャスト | 一旦ラインを水面に置いてから、ラインを水から剥がした抵抗でロッドを曲げてキャストするスタイル。 |
| リーダー | ティペットをリーダーとして直結して使う、0X以上推奨 |
| 得意な状況 | 重いシンクティップ+大型のウェイテッドフライ、増水した場面や強風下でも安定してキャストできる |
比較表
| 項目 | スカンジ | スカジット |
|---|---|---|
| ヘッドの太さ | 細め・長めのテーパー | 太め・ショートテーパー |
| 主なティップ | フローティング/ポリリーダー | シンクティップ(T-8〜T-14など) |
| キャストスタイル | タッチ&ゴー | サステインドアンカー |
| 得意なフライ | 軽量〜中量のウェット・ドライ | 大型・ウェイテッドフライ |
| 難易度 | やや繊細、習得に練習が必要 | パワーで押せる分、初心者にも扱いやすい |
| 向いているフィールド | 穏やかな水面、繊細なプレゼンテーション重視 | 増水・速い流れ、深場を沈めて釣りたいとき |
グレイン数とロッド番手の目安
ヘッドの重さ(グレイン数)は、ロッドの番手(ラインウェイト)に対して適正な範囲があります。あくまで目安ですが、参考にしてください。
| ロッド番手 | スカンジヘッド目安 | スカジットヘッド目安 |
|---|---|---|
| #6 | 300~360グレイン | 400~450グレイン |
| #7 | 360~420グレイン | 450~500グレイン |
| #8 | 420~480グレイン | 500~550グレイン |
| #9 | 480~540グレイン | 550~600グレイン |
| #10 | 540~600グレイン | 600~650グレイン |
近年のスカジットボディは、短いものから長いものまで長さのバリエーションが細分化されています。同じグレイン数でも、ボディの長さが違えばロッドへの負荷のかかり方はまったく異なります。
例えば、お使いの竿が12'6" #7番でSKAGITラインの適合グレインが500grだったとします。「18ft・500gr」と「23ft・500gr」という異なる長さのスカジットラインがあったとして、同じ500grでも短い18ftのボディの方が重量が凝縮されている分、ロッドに強い負荷がかかります。つまり、短いスカジットボディを組み合わせる場合は、合わせる重さを調整する必要があります。もちろん短くて重たいコンセプトのラインも存在します。
ロッドのスペック表に「スカジット適合グレイン:500gr」とあっても、それだけでは長さの情報が抜けているため、実際に選ぶ際はロッドのレングスに合わせてボディの長さも選ぶのが基本です。目安として、12'6"以下のロッドには20ft以下のボディ、13'0"以上のロッドには23ft以上のボディを合わせると、バランス良く効率的にキャストができるでしょう。バランスの悪い組み合わせは、アンカー抜け等といった現象が起きやすくなってしまいます。
スカジットはスカンジと異なり、ボディ+シンクティップの合計グレイン数で厳密に合わせる必要はありません。ボディのグレイン数さえロッドに合っていれば、その先につけるティップはある程度幅広い重さから選ぶことができます。ティップに関しては、違うメーカーの商品でも問題なく使うことができます。
例えば、お使いの竿が12'6" #7番 SKAGIT 500grが適正だったとします。バランス良いティップ重量というのは、ボディ重量の1/4程度が目安ですが、実際には80gr~140grぐらいまで、様々な重さや長さのティップを使うことができます。RIO社のシンクティップであれば、LIGHT(80gr)、MEDIUM(110gr)、HEAVY(140gr)のいずれを組み合わせても、無理なくキャストできる範囲に収まるということです。スカジットボディが重量の大部分を担っているので、どんなティップを使ってもキャストが破綻しにくいのがスカジットシステムならではの強みと言えます。
この懐の広さのおかげで、フライの大きさや沈めたいレンジに応じてティップだけを気軽に交換できるのも、スカジットが実釣で扱いやすいと言われる理由のひとつです。
Q. スカジットラインに小さなフライを組み合わせるとどうなる?
スカジットは重量のあるヘッドのため、小さな軽いフライを結んでもキャスト自体は問題なく成立します。ただし、フライが軽い分ターンオーバーの勢いに対して抵抗が少なく、オーバーターンしてラインスラッグが発生してしまったり、リーダーが絡みやすくなったりすることがあります。また、スカンジのような繊細で静かなプレゼンテーションは苦手なため、静かに落としたい場面ではスカンジの方が向いています。どうしてもスカジットで小さなフライを使いたい場合は、リーダーをやや長めにする、キャスティング技術で調整する必要があります。
おすすめアイテム
当店で扱っているスカンジ・スカジットのシューティングヘッドから、代表的な5アイテムをご紹介します。
SKAGIT
OPST Pure Skagit Commando Head
ショートレングス設計で取り回しが良く、初心者にもおすすめのスカジットライン。150gr~475gr。
10,860円(税込)
商品ページへおすすめシンクティップ
スカンジボディ、スカジットボディと組み合わせて使うシンクティップも合わせて3アイテムご紹介します。
SINK TIP
RIO Skagit MEDIUM iMOW TIP(SlickCast)
インターミディエイトとT-11フルシンクを組み合わせた全長10ftのスカジット用ティップ。475~575grのスカジットラインに対応し、ダブルハンド8番中心の本流の釣りに最適。4種のブレンド比率から選べます。
5,060円(税込)
商品ページへSINK TIP
OPST Pure Skagit D² 10FT SHS Tips Dual Density T14
スティールヘッド・サーモン向けの10ftデュアルデンシティティップ。T14の強い沈下性能で、深い流れや速い流芯、大型フライのスイングにも対応。フロート/シンク比率の異なる複数構成から選べます。
6,600円(税込)
商品ページへ選び方のヒント
- 「ウェットフライや比較的小さなフライを静かに正確なプレゼンテーションをしたい」→ スカンジ
- 「本流で大きいフライを使ったダイナミックな釣りがしたい」→ スカジット
- 両方をロッド1本に対して複数ヘッド用意して使い分けるアングラーも多く、状況に応じてスプールごと交換するのが一般的です